『パシフィック・リム』(Pacific Rim)/2013年
<監督・脚本>
ギレルモ・デル・トロ
<出演>
チャーリー・ハナム
イドリス・エルバ
菊地凛子
チャーリー・デイ
ロン・パールマン
芦田愛菜
<満足度>
☆★★★★
いい意味ですごくオタク的な映画だった。
日本の怪獣、特撮、アニメ、そういった要素がたっぷり詰まっていたと思う。
怪獣、ロボット、SFっていうといかにも〜という感じがして身構えてしまうのだが、
思っていた以上に楽しめた。熱い。つっこみところは満載だったけど。
カイジュウを倒す為のイェーガー(巨大ロボット)は、
操縦者2人がドリフト(神経回路からの記憶の結合)をしなくてはならず、
それはより身近な親近者であるほど成功率が高いという設定。まずこれがいい!
主人公のローリーは5年前の戦いでパートナーだった兄を失い傷ついてる。
そして過去のローリーを知るハンセン父とやたらつっかかってくるハンセン息子、
ロシアの屈強な父娘、三つ子のタン兄弟、犬猿の仲の生物学者と数理学者…
マコと指令官の関係が中心的に描かれていて、芦田プロの魂の慟哭をみた。
うんうん、みんなこういう話好きだよね〜。でも全ては語り切らない。
登場人物の様々なエピソードが胸をよぎる。ああ、もっと人間ドラマが観たい!
もっと俺たちはチーム!なところがみたい、絡みが欲しい!
そういったストーリーがありそうな人びとを細々追わないことで、
感情移入せずに戦闘シーンがみることができたと思う。
考えて想像する余地が残されていると思うと突き詰められてなくてよかった、かな。
印象的なのは真っ黒な服装のマコが雨の中大きな黒い傘を差して待ってるところ。
イェーガーのプラグスーツの背骨ビキビキ。
香港の描写の典型的なアジア感。漢字の看板、雨、小道…ガヤガヤ
司令官の部屋の無機質な和、ミニマル?
脇役として『ヘルボーイ』のロン・パールマンがいたのもよかった。靴がいい。
PPDCのふとした瞬間にいる通行人がトレーナー着てるだけなのにかっこよかった。
意識が高い。エルフか。
怪獣あり、ロボあり、人間ドラマ(ありそうで)なし、
原子炉とかメルトダウンとかそういったワードの出し方に
興ざめだったけど『バットマン』の打ち上げ花火に比べたらマシかな。
ハッピーエンド!わーい!だったけど無くしたものも多かった。
シリーズだったりドラマでも通用する内容だったと思う分
一本きりの映画で終わってしまうのが寂しい。
デル・トロ監督の作品の中でもさらっと人に勧められる作品。